おれがXRPLに注目しているのは、 XRPLのコンセンサスに関する文書を読んだ時に、 そのアイデアに感動したからだ。
ランダムなバリデータによって価値の歴史を作っていきたい場合、 ビットコインが採用するPoWのようなアルゴリズムが必要っぽいことは当然だ。 マイニングパワーによって投票権を得るという考え方は自然であり、 ブロックチェーンの原理のように解釈されている。 ブロックチェーンに仮に、「正しい」という概念が存在するならば、 ビットコインは間違いなく正しく、故に多くの人に受け入れられているのだと考えられる。 仮想通貨は株などに比べると遥かに怪しい世界であり、 その中で正しいかどうか不明なブロックチェーンのトークンを買うことを、 ふつうの精神をした人間は受け入れない。
ビットコインの問題は、その遅さである。 それ故に、送金には膨大な時間と、そしてトランザクションコストがかかる。
XRPLはこの問題を解決するために発明された。
XRPLのコンセンサスアルゴリズムを学んだ時、 おれはむしろその順序は逆ではないかと思ったものだ。 これはつまり、神の視点から見れば先にXRPLがあり、 そのあとにビットコインが出来るべきだったということだ。 しかし人間は神に比べて知能が低いから、ビットコインを発明したあとでしか XRPLに気付けなかった。 そういう話のように感じた。 似たような話としては、人間は、ニュートン力学が間違ってると気づくまで 量子力学の存在に気付けなかったというのがある。
XRPLはビットコインのマイニングをやめ、 バリデータの信頼度のようなものに頼ることにした。 各バリデータは、自身がコンセンサスを形成しても構わないバリデータのリストを持ち、 ゴシッププロトコルのような形で合意が伝播していくというのが XRPLのコンセンサスアルゴリズムの概要である。
こうすると、バリデータをノードとして 信頼グラフとでも呼べるようなグラフが形成されるから、 その入辺の数が信頼度であり、それがビットコインの世界でのマイニングパワーに相当すると 考えれば、ビットコインとXRPLが「正しさ」において同等であるところまでは理解出来るだろう。 だから、XRPLは中央集権的であるとか、そういう主張はすべて嘘となる。
さて、なぜXRPLの開発者たちはこのようなアルゴリズムを考え出したかというと、 現実社会では、価値の裏付けは信頼だからだ。 だから、信頼をダイレクトに表現するコンセンサスアルゴリズムがあれば、 それは実現したいもののうちもっともネイティブなものであり、 もっとも効率がよくなるという閃きがあったのだと思う。 これは、解決したい問題の根本は何なのか?という問いを突き詰めれば、不可能な閃きではない。 また、工学的には、ある問題を別の空間に置き換えて解いたり、 厳密な計算をすると実装や計算が膨大になる問題に対して、乱数を使ったり別のアプローチによる 解決を図ることはよくあることだから、ビットコインと同等のものを別の方法によって実装出来ないかと 考えることも自然なことである。
このように、決して突飛ではなく、正当なアプローチによって考え出された アルゴリズムだということはわかるのだが、 エレガントであることには変わりなく、感動した。 XRPLはまさに原点であり頂点なのだ。
こうして、XRPLでは信頼グラフによって信頼度を表現することにしたわけだが、 では他の方法によって信頼度を表現することは出来ないだろうか? 例えば、マイニングパワーが大きいバリデータは信頼度が大きいとしたらどうなるだろうか。 こう発想すれば、XRPLからビットコインを生むことが出来る。
こうして見た時、ビットコインはただのジョークプログラムであるということがわかるだろう。 XRPLという最速のコンセンサスアルゴリズムを 別のより冗長な方法によってエミュレートしたものがビットコインだからだ。 だから、ビットコインは遅いのだ。 そして、ビットコインの問題を解決するために色々なアルゴリズムが発明されているが、 発想の向きが逆であり、話にならない。
しらんけど。