毎年この時期になると心の傷が痛む。
そう、東大合格者ランキングだ。 今年は麻布は筑駒なしの暫定で3位。またいつもの定位置に戻ってきた。 しかも東大の推薦入学を3人も出した。これは国内最高だ。 麻布というところには、恐ろしい天才がいるものだ。 私立の難関校からノーベル賞が出ないのは中学受験が害悪だからだという人がいるが、 それは違うのだ。こういった天才を間近で見ると、科学や数学に興味があっても、 自分は理学部ではやっていけないと早期に悟ってしまう。 そうやって諦める人が結構な数いるんじゃないかと思っている。
今年は麻布から東大に85人。 300人の卒業生のうち、85人が東大に行く。 ちょっと昔は100人以上の年もあった。 自由放任な学校なのと、 勉強が出来るやつが偉いという価値観を持ってる人が少ないので、 学生時代に怠けるやつが多いので現役率は高くないが、 現役でぶちのめされたあと覚醒して、 浪人して一年間勉強に集中して、一気に東大に合格するやつがたくさんいる。 おれの中学受験からの友達も、そんな感じで東大に行った。
これを山岡という社会科の教員は「野蛮な集中力」と表現した。 中学受験で猛烈に勉強した経験があるから、 現役では全く勉強せずとも、一年間で猛烈に伸びて東大に行く人間がいる。 中には、現役の秋頃から勉強に集中し、東大に合格してしまう人間すらいる。 ふつうは、高校の3年間を地道に勉強してようやくどうかなというところを 一年でぐっと集中して勉強し、到達してしまう。 そんなチートみたいな集中力に対して野蛮という表現は、 かなりしっくりくる。
この季節になるとどこも東大合格者ランキングで賑わう。 見ているとあたかも、東大合格者数のみが学校の良さを示す指標であり、 世の中のすべての人間がその数に注目しているような感覚になる。
その価値観には同意出来ない。 しかし、おれは麻布学園はとても良い学校だと思っている。 だから、おれが東大に行けなかったことで麻布学園の分母を無意味に増やしてしまったことは 申し訳なく思っている。 おれは東大を受けすらしなかったクズだ。敗北者だ。 ううう・・・申し訳ない。
最近になって思うのだが、麻布東大というのはものすごいブランドだ。 東大単体でも役満くらいにすごいのだが、麻布東大となるとダブル役満くらいのすごさになる。 麻布東大と並べたら、次にグーグルやゴールドマン・サックスが来ても、違和感はあまりないだろう。 それでトリプル役満。人生はアガリだ。
かの大川隆法は息子のヒロシに、麻布から東大法に進むことを望んだが、 それは残念ながら叶わなかった。 しかしここからわかることは、自身も東大法出身で今や教祖として ほしいものは何でも手に入れられる立場にありながら、次に望むのは 麻布から東大というブランドだということだ。 ちなみに三男は麻布から東大に行った。 その他にも、みんな大好き菅義偉首相の次男も麻布東大。 おれが大好き磯貝アナの弟も麻布東大。 みんな麻布東大だ。
もしこの価値に気づいていれば、おれはもっと真剣に勉強したのになぁと思う。 そうであればどうなったかはわからないし想像する権利もないが、 おれは、麻布東大になる権利を持っていながら、 それを破棄してしまった。これは事実だ。 親にも申し訳ないし、学校にも申し訳ない。
人生は取り返しが利かないからおれはこのゴミみたいな人生を生きるしかないが、 麻布の後輩たちには自分の目の前にある配牌の価値を理解してほしいものだ。 そして、どうにかして野蛮になり、分子1に貢献してほしい。 そういう思いをこめて、このポエムを書いた。