スクワットをしゃがんだ時、
- バーベルから腰までの距離: Lb (back)
- 上腿の長さ: Lf (femur)
- 下腿の長さ: Ls (shin)
として、バーベルを背負ったまま上腿を地面と並行まで下ろした時、上体と上腿の角度P、膝の角度Qとして、バーベルが足の真上にあると仮定すると、
Lf = Lb cos P + Ls cos Q
が言える。3つの長さが固定値であるとすると、PかQの一方が決まるともう片方も決定するということになる。
腰にかかるモーメントは第一項Lb cos Pに比例し、膝にかかるモーメントは第二項Ls cos Qに比例する。仮に、右辺第一項と第二項が等しいことが最適だとすると、PとQは決定する。簡単のためこれを仮定しよう。この最適な割合は、筋力バランスなどに依ると思われるが、Lfを二分割することは、最適からそう遠くないと考えられる。(ある長さの紐で長方形を作る時、面積が一番大きいのは正方形であるのと同じ理由)
この場合、スクワットに適した体型というのは、
- Lbが長い (上腿を倒さなくて済むため)
- Lfが短い
- Lsが長い (下腿を倒さなくて済むため)
という特徴を持っていることになる。
これがスクワットの面白いところで、白人や黒人のように、2,3を満たす場合でも1によって悩むように出来ている。一方で2,3はないアジア人も1は持っている。
しかし実は上の説明は若干嘘であり、2は克服出来る。上の説明におけるLfは、正確には横からみた時の実効距離であり、実際の骨の長さではない。そしてこれは、股関節の角度を広げることによって、短縮することが出来る。
股関節の角度(片側)をRとすると、実効距離Lfeは、Lf sin Rとなる。改めて整理すると、正しい式は、
Lf cos R = Lb cos P + Ls cos Q
となる。
Rの補正がどれほど強力なものか考察しよう。Rを広げすぎることは前後のバランスを崩すことになるのと、股関節を痛めるからあまり広げられないとして、cos RはRが30度の場合は0.86くらい。45度の場合は0.71程度なので、民族差を超えることが出来る程度の補正が出来る(考えてほしい。もしあなたのスネが0.86/0.71倍になったらむっちゃ長いだろ)。だから現実的なRの範疇で最適なものを選択することによって、Lfのハンデは克服出来る。
だからアジア人のみなさんに言いたい。スクワットをする時は足先の角度を45度に開けと。足先を30度にするスクワットは、欧米人にしか出来ない。悲しい現実を受け入れるしかない。