「この本のタイトルは川柳のようである」と思ってるのはおれだけかも知れない。わざとかも知れない。川柳は、社会風刺で使われることもある。
おれ自身も日本企業に勤めるサラリーマン(not ビジネスマン)であり、この本でほぼ批判されている年功序列のレールに乗っている(あるいはもう外れている)人間である。色々考えることがあって、年功序列は何が悪いのか、さておれはどうすればいいのかについて、先行者の考えを得るためにこの本を読んでみることにした。職業柄なのか、先行者の道筋を辿って省力化、あるいは道筋を大きく踏み外さないようにするということが習慣づいている。大体2日で読んだ。文章がとてもライトウェイトなので、さっさと読める。kindleで読めたらなお良かったと思う。
なるほどそういうカラクリかと勉強になる箇所が多く、読んだ価値はあった。こういう分野の情報には疎いため、勉強になった。端的にいうと「若者は目を覚ませ。自分の働きがいは何かに目を向けて、必要ならば荒野に踏み出せ」ということが著者の主張である。そういう考えに至るために、いかに年功序列が悪いかが書いてある。おれがこれからどういう人生を選択するにしても、読んでおいて良かったと思う本である。いやむしろ、そういう境遇にある人間だからこそ読むべき本であり、たぶんこの国の多くは日本企業に勤めており、レールの上を走る電車の上で変わらない景色を眺めている人だから、そういう人は読むことを薦めたい(そして、売上のいくらかを僕にください出版社様)。景色をただ眺めているだけでなく、その風景にある背景を知った方がより旅は楽しいだろう。
城繁幸氏の本はわかりやすく、さすが東大法学部。論理的に崩れがなく、すんなり入ってきた。この本が書かれたのが2006年、彼が2004年に富士通を29歳で退社してから3年目、3本目の著作である。では彼がその後何を書いているかというと、やはりこの本に書かれているのと同様に、若者がまじ搾取されててやばいということを書いている。次は、「3年で辞めた若者はどこに行ったのか」or「内側からみた富士通の成果主義の崩壊」という本を読んでみようと思う。前者はこの本の続編?後者は、amazonで大変評判がいい。