【感想】人類最強の「糖質制限」論

著者の江部康二氏は医者である。京都大学医学部の出身であり、今は糖尿病患者に対する糖質制限を高雄病院で行っている。

これまで糖質制限に関して4冊の本を読んできた。その上で、糖質制限に関してたった1冊推薦せよと言われたら、この江部本を推したい。

他の3冊は、

  • 炭水化物が人類を滅ぼす (夏井睦): 著者が恐ろしく博学なためか、人類の歴史、糖質の歴史、他の動物の消化器がどうとかまですべてを絡めて糖質制限の有効性を説いており、ただ糖質制限の有効性を知るだけであればピントがずれている。著者は猛烈な参考文献をもとにして書いているが、結論までは想像で補っていることが多いことも短所。読み物としては面白い。
  • アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる (溝口徹): 糖質制限に関する内容は薄いが、なぜアレルギーが治るかや健康になるためにはどういうものを食べればいいかを主に書いている。
  • ケトン体が人類を救う (宗田哲男): 妊婦糖尿病を救うということを中心に書かれているため、現状の私としては関係なかった。新生児のケトン体濃度が高いという研究結果を認めない学会に対する恨みが綴られており、読んでいて気分も陰鬱する。

これらに比べて、この江部本は糖質制限がなぜ素晴らしいのかということを完全に、そして淡々と述べている。現在得られている糖質制限に関する研究成果なども交えて、エビデンスベースで展開していき、想像による補間がほとんどない。これは、糖質制限というともすれば命に関わる健康法が本当に安全かどうかを知るという読者のニーズを応えるためには大事な性質であると思う。従って、糖質制限がなぜ効果があり、どういう病気に効くのか、そのエビデンスはどこにあるのか?糖質制限はダメだという主張はどこが間違ってるのか?などを単に知りたい人は、この本を読めばいい。

私は糖質制限を極端な形ではないがもう2ヶ月ほど続けている。週3のハードなワークアウトでは、100gほど糖質をプラスしてしまうが、通常時は80g程度に抑えている。ワークアウト時に糖質をとるのは、トレーニングの前に発芽玄米を200g食べるのと、トレーニング直後のプロテインシェイクにブドウ糖を60g混ぜているからである。江部本でも述べられているが、中強度以下のスポーツ選手であれば糖質を一切とらず、ケトン体を使って筋肉を動かすのが最善だと思う。例えば中長距離走やロードバイクなどである。これらの種目ではカーボローディングは大した意味を持たないと述べている。しかし、私のように体重の2倍以上のバーベルで高強度トレーニングを行う場合は、ケトン体ではなくグリコーゲンが使われる。従って、糖質をとらないでトレーニングをすると、全く力が入らないことになる。だから週3は諦めている。(とはいえ、200gの糖質をとったとしてもカロリーの割合でいえば私の場合30%程度にすぎない) ただし、トレーニング前に補給した糖質はすぐに消費されるし、トレーニング後のブドウ糖もゴールデンタイムのことだから、その他の時間に漫然と糖質をとるよりは影響が小さいと考えている。

日々タンパク質は200gほどとっている。プロテインで120g、食事で80gといったところ。これは、血中アミノ酸濃度を保ち続けることが、糖質制限をしながら筋肥大を行う鍵だと考えているからである。結果として、この2ヶ月でベンチプレスもスクワットもデッドリフトも順調に強くなっている。身体つき自体変わってることが明らかなので、白米をどか食いしてインシュリンを出しまくってタンパク質を同化させるという古典的筋肥大法に頼らなくても、筋肥大が可能であることを実感している。糖質セイゲニストにとって糖質はデザートという位置づけなのだが、トレーニーにとっても奥の手なのではと思うようになった。アナボリックステロイドを使っていて、脂肪が落ちやすい状態であれば炭水化物をとってさらに筋肥大を目指すことは正しい選択だと思うが、ノンユーザの場合はまずはタンパク質を増やすことが基本だと思う。

私のツイッターのフォロワーには、私に影響されたのか糖質制限を始めた人もいる。このブログの読者のみなさんにも、糖質制限のことを学び、糖質が人間に不必要どころか害を為すものであるということを知り、糖質制限をはじめてほしいと思っています。

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