おれはOSを書く仕事をしたこともあるし、今までの仕事はほとんどがいわゆるシステムソフトウェアだった。しかし多くの人はウェブアプリケーションとかそういうところからキャリアをスタートさせるみたいで、そういう人の中でちょっと意識の高い人は「自分はアプリのことしかわからないから低レベルのことを勉強しなきゃならないな」となる人がいて、例えば伊藤直也さんなんかはがんばってLinuxカーネルの勉強をしていたようである。というかそういう有名人に触発されて、低レベルもやらなきゃなみたいな風潮があるといってもよい。そもそも「低レベルとはなんぞや」みたいなところがおれの中にはあるが、OSがどう動いてるかとか、コンパイラは何をしているのかとかは、基本なのでざっくりとでも知っておくべきだとは思う。
ただ、そこからどう捻れたのかわからないが、「Rustは低レベルに入門する最後のチャンスだ!」「Rustを勉強すれば低レベルを理解出来る!」という人間をTwitterで見て、さすがに舐めすぎではと思ったのでここではっきりさせておくと、お前らはRustを勉強しても意味ない。
Rustのありがたみを理解するには、CやC++を真剣に書いて、リソース管理の難しさを体験しなければいけない。あるいは、GCのある言語で難しいことをして、本来ありがたい存在であるはずのGCの挙動を理解しながらコードを書くことの不毛さを体験しなければいけない。そこまでやってはじめて、Rustを学ぶ価値が生まれてくる。彼らの言葉を借りるならば、低レベルを理解している人間にしかRustは価値ないんです。パターンマッチとか関数型のテイストだとか、そんなものが欲しいならばOCamlやScalaでもやればいいんです。わざわざこんな学習コストの糞高い言語を学ぶ価値なんかひとっつもないんです。がんばってください