スクワットで腰が完全にファックされた

悪夢のスクワットデー

今日が12月14日で、その日は12月11日だったから3日前のことになるが、 その日は大好きなスクワットデーだった。

数日前から少し疲労が残り気味で、不安はあったが、 まぁなんとかなるだろうという気持ちでセイロンシナモン入りのプロテインを飲み、ジムに向かった。

本セットの狙いは140x6だったが失敗して、140x4だった。 今思えばアップの時点から股関節の伸展がダメージ残りで、これは調子が悪いという気がしたが、 実際にだめだった。それから5キロずつ重量を下げて、4セット目は125キロだった。

重量を下げてきてるから、バーベル自体は軽く感じたが、 予想どおり6回目でギリギリな感じだった。 それから7回目をしゃがむために呼吸を整えてる途中にマスクがずれ落ちてきた。 気が散る。なぜ無意味なものに邪魔されなければならないのだろうか?

いずれにしろ足はガクガクしており、このままではジリ貧だ。というわけでおれは意を決して ゆっくりしゃがんみこんだ。バーベルはしっかりコントロール出来ている。 あとは勢いよく立ち上がるだけ。

ボトムからしゃがみ上がろうとしたときだった。 腰のあたりから何かバチッという音がして、左足の力が完全に抜け、 おれはそのまま崩れ落ちた。幸い、このときにバーベルを首に直撃させるということはなく、 コントロールしたままセーフティバーに着地させることが出来た。

嫌な予感がした。 ちょうどここに引っ越してきたばかりの頃だから30歳くらいのときだろうが、 そのときにもデッドリフトをボトムから引くときに腰からものすごい音がして歩けなくなったことがある。

しかし今回は、記憶に残ってるその時の音よりは小さく、おれはその分安心した。 これは後に勘違いであるとわかるのだが。

腰の痛みに耐えながらバーベルを片付け、おれは歩いて家に帰った。 顔を歪め、足を引きずりながら歩くおれに声をかける人は誰もいなかった。 ただ一人、キックボードで遊んでいた純粋無垢な少女以外には。 日本人はクソだ。全員ワクチンしろ。

強くなる痛み

家についてからしばらくして、これはただ事ではないことがわかった。 次第に痛みが強くなっていき、歩くのもままならなくなってきた。

そこでおれは近くの薬局に行き、湿布薬を買ってくることにした。 どの瞬間から突然激痛になるか予測がつかないから、一刻を争う。

インターネットでささっと調べると、この手の症状を急性腰痛というが、 応急処置で大切なのはまず冷やすことだそうだ。 急性腰痛では、おそらくおれの場合は腰あたりの筋肉が部分断裂したのだと思ったが、 48時間ほど「プロスタグランジン」という物質を産生し続ける。 これが痛みや炎症を起こすため、とにかく冷やし、血流を悪くすることでこの物質の産生を抑える。

もう1つ、当然だが、産生されてしまったプロスタグランジンを取り除くことも痛みの軽減に役立つ。 これが湿布薬だ。 ざっと調べた限りではロキソニンとボルタレンという2つの種類があり、どちらもこの物質を取り除くように機能するが、 その作用機序は異なるように読めた。

薬局では、ロキソニンの湿布薬を買った。この選択に意味はないが、 高校生のときに湿布薬で喘息発作を起こしたことがあり、その成分には気をつけなければいけない。 ロキソニンというのは聞いたことがあるからきっとアレルギーはないと考えて、ロキソニンの湿布を買った。

同様にスクワットやデッドリフトで腰をファックされた人の記事を読むと、 症状は翌日がもっともひどく、その翌日には多少寛解する傾向があることが読めた。

今夜が山田。このギャグは古いので若い人にはわからないだろうが、まさに今夜が山だと踏んだ。 おれは家に帰ると残る体力でシャワーを浴び、ジップロックに氷を詰めて氷嚢を作り、湿布の上から腰を冷やした。

腰を冷やすと、確かに痛みは和らいだ。

眠れない夜

しかしその夜は全く眠れなかった。

まず、仰向けになることは出来なかった。 仰向けになると腰が沈み込み、これによって腰がダメージを受ける。

ここから横を向きをとろうと思うとそれがまた激痛なのだが、 やはりどの姿勢をとっても痛く、眠るどころではなかった。

眠るときは氷嚢は当ててなかったが、湿布は貼っていた。 湿布だけでは抑えきれないほど、痛み物質が産生されていたのだろう。 そしてその事実をおれは翌朝、知ることになる。

幼児化

朝起きたのは7時くらいだったと思う。 どのくらい寝れたかはわからなかったが、 スリープトラッカーによると2時間の覚醒を含んで 合計で6時間半は寝れたようだ。

翌朝が地獄というのはわかっていたから覚悟はしていた。

そこでまず、ベッドの上でどういう動きならば出来るのかを確認した。 これによって、出来る動きだけを組み合わせて立ち上がることは出来ないか考えようとしたのだ。

その結果、おれが出した答えは、はいはいだった。 もはやはいはいしか出来ないことがわかったのだ。

身体を丸めて転がり落ちるようにベッドから降りた。 そのままはいはいでトイレに向かっていく。 しかし、はいはいすら痛い。 恐竜のような声を出しながら気合で一歩一歩トイレに向かっていく37歳がそこにいた。 なんとか壁に捕まり、右半身の力だけで身体を持ち上げ、ようやくトイレにたどり着くことが出来た。

しかし、トイレにたどり着いた瞬間おれは気づいた。 仮に今ここでトイレに座ったとして、二度と立ち上がることは出来るだろうか? あるいは立ったままおしっこをするとして、両足をしっかりと地面につくことは出来るだろうか? つかないと不安定になって撒き散らすことにならないだろうか。

結局、おれは保守的な選択をした。 しかしこれが間違いだった。 おしっこを済ませたあと、立ち上がることは出来た。 しかし、トイレの便座は不安定なことを忘れていた。不安定な便座に座るためには腰の筋肉を使っている。 だから強烈に痛んだ。

しかしこれでトイレにいけることはわかった。 しかしそれと同時に、トイレに座れないこともわかった。 ましてや大のときに腹圧を入れることなど到底無理だ。

もし今「刻」が来たら・・・死ぬ。

回復に努める

回復のためにプロテインとグルタミンをぶちこみ、ベッドに戻ると、 先ほどと逆の要領でベッドに転がり込んだ。

整理すると、今おれの中にある問題は2つだ。

1つは、昼飯をどうするかという問題。冷蔵庫に納豆はある。パックごはんもある。 従って、理論上、昼飯を作ることは出来る。しかし、おれは台所で納豆を作ることが出来るだろうか? 仮に作れたとして、椅子に座って飯を食べることは出来るだろうか?

もう1つは大の話。 おそらくここから明日に向かって痛みが引いてくることは予想出来るが、 もし、痛みが引く前に大が来てしまったらどうするのか?

おれがすべきことは回復させることだった。 とにかく回復させるしかない。 氷嚢を作り、腰に当て、昼まで寝た。

起きるとまたプロテインを飲み、さらに横になった。

勝勢

午後2時頃だろうか。 さすがにお腹が空いたので、おれは飯を食べることにした。 ここでおれが考えたことは、

  • 仮に出前をとるとして、オートロックを解除し、ドアまで行って受け取ることは出来るのか?
  • そもそもおれはパンツ姿なのだが、ここからハーフパンツを穿くことは可能なのか?

だ。

まぁ、なんとかしよう。おれはウーバーという搾取の仕組みが嫌いだから使ったことはなかったが、 このときばかりは仕方ないと思いスマホにインストールし、ユーザ登録をしようとした。 しかし、HighIQExceptionのせいか、住所登録がうまく行かなかった。

そこで覚悟を決め、納豆を食うことにしたのだが、 この時点で痛みが朝よりはかなり和らいでいることに気づいた。

まず、痛いながらもベッドからすぐに立ち上がることが出来る。 この時点で勝ちを確信した。

しかしここで余裕をぶっこいてしまってはまた悪化するかも知れない。 詰めが甘いのは麻布生の悪い癖だ。 ここは念には念にということで夜まで冷やし続けられるだけの氷を確保するために コンビニまでアイスボックスを買いにいった。

コンビニまでは普段ならば数分でつく距離だが、 この日は片道20分はかかった。 その時点では、歩くこと自体は出来たが、 足のつき方が悪かったり、腰が変な風に動くと激痛が走り、その度に顔を歪めた。

その日は、ルービックキューブを解く気持ちにもなれなかったから、 腰を氷で冷やしながら映画を見ることにした。 僕と世界の方程式という自閉症の子供が数オリに参加する物語だ。 おれには残念ながら数オリに参加するような才能はなかったから この話がリアリティのあるものなのかどうか判断がつかないが、 一応、実話に基づくストーリーらしい。楽しかった。

そうこうしてるうちに夜になり、ポワロを読んでから寝た。

今の状況

今はそれからさらに2日経った。 2日目の朝を痛み100とすると、1日目の夜が70。 3日目の朝が40、その翌日の今は30くらいだ。 回復の度合いは少なくなっていってるが、確実に回復していることはわかる。

今後は、少し長めに歩いたり、軽いケトルベルを使って刺激を入れて、 回復を促していく。 怪我で大切なことは、動けるようになったら動くことだ。 そうしないと筋肉は弱くなってしまうし、硬くなってしまう。 少しずつ強度を高めていき、来週にはジムに復帰するつもりだ。

スクワットとデッドリフトを引退する

今回のことがありわかったのだが、 おれはもうスクワットとデッドで重量を伸ばしていくことはやめた方がいい。 今回はたまたま回復出来たが、あるいはもっと重大な怪我になっていた可能性もある。

しかし、これらの種目は全くやめるべきではない。 スクワットは股関節のモビリティを高めるし、 脊柱に負荷をかけることはテストステロンを維持する上で重要だ。 テストステロンが下がると、頭も悪くなってしまう。

問題は負荷だ。 今回の怪我をした理由は、先週、先々週とデッドリフトを追い込んでいて、 腰のダメージが抜けていなかったからだ。 腰のダメージはそもそも蓄積しやすく、蓄積に気づきにくい。 だから今後はもう少し健康な重量でやって、ダメージを貯めないようにする。

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