ルービックキューブにマグレブが搭載されたのは1年前のことだ。
GANのマグレブ搭載キューブGAN12 Maglevの評価は決して高くなかったと思う。 なぜかというと、初期のマグレブ製品ということもあってかマグレブの速さをうまく制御出来ておらず、 回していて安定感に欠けがちだったからだ。 おれもGAN12 Maglev UVを買ってみたものの、結局ほとんど使わなかった。 安定しないからだ。それに音ががちゃがちゃうるさい。 ロードバイクのラチェット音のような騒音がある。
元世界王者の大村周平氏がユーチューブで解説していたが、 10秒を切るようなトップレベル競技者はキューブを超高速で回転させるため、 キューブに安定感を求める傾向にある。 GAN12 Maglevが出てきた時に、 「U2がU3になる」というギャグが流行ったが、 これでは困るわけだ。
これはFPSでも同じで、 あまりにも滑りが良いマウスパッドは プロプレイヤーには嫌われる傾向がある。 エイムの一貫性が下がるからだ。 プロプレイヤーは場合によっては、1キルが何百万何千万の 価値になる場合がある。 あるいはキャリアのことを考えれば億になる場合もあるかもしれない。 こういう状況下では、 どんな人間であろうとメンタルを完全に平常に保つのは難しく、 だから少し滑りの弱いマウスパッドを使い、 力んだ場合でもエイムが最悪になることを防止しようとする。 人によっては、大きな試合では少しエイムセンシを下げるプレイヤーもいる。 理論的には、マウスパッドは滑りが軽い方がよく、 その究極形として金属やガラスのマウスパッドまで存在するのだが、 実のところあまり普及していない。
これはスピードキューブでも同じであろう。 おれはまだ25秒やそこらだが、 それでもたまたま良いクロスが見えた時や、 たまたまF2Lまでスムーズに行った時には 焦って失敗することがある。 さらに早い世界のプレイヤーはほぼ無意識に回しているかも知れないので、 仮に焦っても回しに失敗することはないかもしれないが、 力んだ結果キューブが突っかかって好記録がおじゃんになることはあるだろう。 こういった理由から、 高TPSが絶対的正義の世界であるにも関わらず、 Maglevキューブはそこまで使われていない。 GAN11 M ProやGAN356 XSなど、ひと世代前のフラグシップキューブを使い続ける 選手が多いのはこういう理由からだと思われる。 有名キューバーのGunji氏もGAN12 Maglevは買ってみたらしいが、 結局使わなかったと言っていた。
道具は必ずしも、最新が最強であるとは限らないのだ。
しかしGAN13は、最新が最強になってしまうかもしれない。 おれは最新のキューブテクノロジーには興味がある派なので GAN13 MagLev Stickerless Frosted を買ってみた。
するとどうだろう。 明らかにGAN12 Maglevよりは進化が見られる。 明らかにマグレブの荒ぶりを制御出来てしまっている。 止まりも良い。コーナーカットも良い。 音も静かになった。 不満があるとすれば円安のせいもあってか値段が 11000円と死ぬほど高いことくらいだ。 軽さ重視のルーブを使うとさすがに回りすぎるが、 GAN Lubeの3番を使うと自分としてはすごく安定感があった。 重い系ルーブであれば他にはLubicle Speedy(赤いやつ)でもいいと思う。 こちらはGAN12 Maglevの時に推奨してる人がいた。
もうこれは、究極のキューブと言ってもよいのではないか。 これ以上何を求めるというのだ?というくらい極まっている。 もちろん、トップレベルの競技者はキューブに対して安定感を求める傾向があるのと、 やはり保守的になる傾向はあるだろうから 全員が即GAN13に移行するということはないと思われるが、 それでも、トップレベルの競技者がGAN13を使い始めるのは時間の問題ではないか という期待が持ててしまう。そのくらい素晴らしいキューブだ。 そしてその時にどんな記録が出るのか、楽しみでしょうがない。