おれがエンプティノーズ症候群という病気を20年来患ってきていたこと、 その発症原因、 その病気に対して鼻腔内への移植手術を行ったことをこれまで話してきた。 今回は、手術から一ヶ月経過した現在の状況について説明する。
エンプティノーズは、おれという人間を知る上で非常に重要なキーワードとなるため、 しっかりと理解することをお願いしたい。 今後、エンプティノーズについて理解のない人間はエンプティ知能人間とみなし、一切の関わりを持つことを拒否する。
鼻閉の状態
現在では、エンプティノーズの症状はほぼ消失しており、 鼻閉を感じることはほとんどない。 以前に感じていた一番の問題は空気のすっぽぬけだが、 これが呼気・吸気両方において完全に解消されているため、 「もう、次の世界に行こうかなぁ」的な 絶望的な気分になることはなくなった。
ただし、鼻閉感が完全になくなったかというとそうでもなく、 以前にはなかったような違和感を感じることが何度かあった。 単に物理的な閉塞感というのもあるが、気流自体に違和感があった。
鼻腔内への移植手術は、真皮脂肪の吸収を見込んで最適より少し多めに行われる。 したがって、術後しばらくは物理的には詰まってる寄りの鼻腔が出来上がる。 そこから、ちょうど使い込んでいくと革靴が馴染んでくるように 真皮脂肪が生着していき、3ヶ月程度で最終的な図が出来上がると言われている。 吸収率については、真皮脂肪のうち脂肪成分が50%ほど生着の過程で吸収されると言われており、 この読み自体が術者の経験依存になることが この手術の難しい点であり、普及における問題点であるようにも思う。
上に述べた閉塞感では、移植によって盛り上がった鼻腔の下方が物理的に狭窄しているという感覚があったため、これが原因かもしれない。 鼻腔のがらんどうが解消されたことによって生理機能がある程度回復し、 ネイザルサイクルが正常に働くようになったことで、 一時的に鼻腔が肥厚したことと 現在の鼻腔の形態がなんらか組み合わさって、おかしな気流を生み出したという可能性もある。 そもそも、おれの鼻腔は通常の人間のそれとは形態が完全に異なるため、 それによって気流自体が不自然になることはそもそもにおいて十分考えられる。
このタイプの鼻閉については、 筋トレを再開したあと、つまりこの3日ほどは一切感じていないので、 筋トレをしたことによって鼻腔の中になにかが起こったか、 単に朝早く起きるようにしたため自律神経が整ったためか、 どちらかだろうと思われる。
トレーニング後や サウナに行ったあとには 中鼻甲介から軽く出血していることがあるが、 これは鼻腔内の粘膜が、速くなった気流に順応出来ていないからだろう。 がらんどうの鼻腔の中は抵抗が低いため、気流速度は遅くなる。 そのため、粘膜へのダメージも少なかったのだろうが、 今は気流が速くなったため、傷ついてしまうのだろうと考えている。 これについては致命傷とは思わないので、しばらくは観察したい。 そんなことより、以前はサウナに入ると、おそらく気温が高いことが問題だろうが 完全に閉塞してしまい苦痛だったのだが、 今はこの症状がなくなった。今後の人生ではサウナをもっと楽しみたいものだ。
総合的にいえば、現在の状態は70点と言ったところか。 優ではないが、赤点ぎりぎりというところでもない。 「良」と言ったところだろう。 ただ、もともと鼻中隔湾曲症と肥厚性鼻炎を持っていたことは事実であり、 そのことを考えれば、もともと多くを望むことは間違っているとは一定諦めている。
採取部の傷
真皮脂肪を採取した鼠径部には大きな傷跡が残ったが、これはパンツの下に隠れる部位であるし、 特に痛みなどもないためおれとしては問題ないが、肌を見せることを仕事にしている人間にとっては 受け入れがたい傷となる可能性が高い。 そういった人間は例えば、グラビアアイドルとか、AV女優とか、ボディビルダー(フィジーカーはトランクスなので問題ないと思う)のような人間である。 あるいは女性一般でも厳しいのではないだろうかと思う。
写真を見るとわかるが、今現在ではかなり痛々しい傷跡となっている。
これをどう考えるかだろう。 傷については今後、ある程度は目立たなくなるだろうが、 完全に消えることはあり得ない。
ここでの教訓は、 エンプティノーズの治療には大きな代償を払う必要があるということだ。 エンプティノーズの治療より重要なことは そもそもエンプティノーズにしないことであり、 下鼻甲介に対する一切の操作を禁じることである。
鼻腔内の状況
現在の鼻腔の様子を共有する(鼻うがいから4時間後。写真は左・右)。 術前の写真は エンプティノーズ症候群のIMAP手術をした を参照。
特徴的な点について列挙する。
- 鼻腔の下方には顕著な盛り上がりがある。
- 術前と比べると全体的に乾燥感が減っている。
- 中鼻甲介については、術前は少し萎縮傾向にあったが、術後は2倍以上に大きくなっており、湿っている。
- 右の下鼻甲介の残骸のようなものは術前に比べて豊かになっている。
- 鼻腔全体としても萎縮に改善が見られる。
手術による改善が顕著に見られるのではないだろうか。
みなさんのエンプティ知能症候群にも治療法が見つかることを願っている。