そろそろドーハの世界陸上が始まりますね。
一回前の世界陸上、2017年の世界陸上の100メートルでジャスティン・ガトリンが優勝した時、会場からはブーイングが飛んだ。3位のボルトに対する敬意を表するポーズも取ったものの、やはりブーイングは止まらなかった。これには、Fワードも含まれていたという。ジャスティン・ガトリンは速かったが、彼が一番だと思ってる人は世界中に本人を除いて一人もいないのが真実である。せいぜい、日本のバカメディアに都合の良いトップアスリートとして扱われるか、日本のローカル大会に客寄せパンダとして呼ばれるかしか能がない。
その理由は、ガトリンが薬物違反を何度も繰り返しているからである。
Nike's decision to give drugs cheat Justin Gatlin sponsorship deal is 'absolute nonsense'
「薬物チーターのジャスティン・ガトリンをスポンサーするというナイキの決定は完全にナンセンスである」
2015年にナイキがジャスティン・ガトリンのスポンサーをすることにした時、かなり議論が起こった。USATF(アメリカの陸上協会)のデータによるとこのスポンサーシップはまだ続いているようなので、ナイキのスパイクやユニフォームを使ってる選手は、筋力増強剤を、肯定はしていないとしても、少なくとも完全否定はしていないということになる。もし完全否定しているならば、一切使うはずはないからだ。
ガトリンの初犯は2001年にアンフェタミンという興奮剤を使っていたことによる。最悪、これはその場限りのことなのでまだ許せるが、絶対に許せないのは2006年の筋力増強剤テストステロンである。
なぜ許せないかというと、筋力増強剤を使って一度高い筋力をつけたのであれば、薬を抜いたあともある程度は筋力が戻せるとされているからである。これをマッスルメモリーと言う。例えば、怪我などで長いこと治療に専念していたアスリートが、復帰すると比較的短い時間で元のレベルに戻る。もともとその身体を手に入れるのに10年もトレーニング来たのだから、そこに1年で戻るのは不思議だ。これが、マッスルメモリーによる効果と言われている。
おれは、ガトリンが37にもなって現役で走れるのは、一度筋力増強剤を使ったからだと考えている。一度薬の力で高いレベルに達したから、歳をとっても比較的楽に、高いレベルを維持出来るという理屈だ。
こういうことがわかっているから、一回前の世界陸上ではブーイングでありFワードなのである。ガトリンに拍手をするのは、日本人しかいない。
今回、ガトリンが怪我で世界陸上に出てこれなくなって、本当に良かった。もう100mの勝者がブーイングされる光景は見たくない。
ここまでガトリンの話をしたあと、話を山本義徳に戻す。
山本義徳はステロイドを使っていたことを公言しているし、ボディビルのプロではステロイドは暗黙の了解なので、自分としては悪いとは思わない。良い悪いの話ではなく、全く別ジャンルのものとして見ている。ステロイドガンギメで人間を超える世界があってもいいと思うし、ナチュラルの範囲でどこまで行けるかを競う世界があってもいい。ショーとしては成り立っているし、実際にステロイド大会の方がビジネス価値が高く、賞金も高い。
なので、長いトレーニング歴の中で培った知識には一定の価値はある。例えば、ステロイドを使っても骨格自体が人間を逸脱するわけではないから、こういうやり方をするとこの部位に聞かせられますというのは受け入れてよいと思う。
ただ一方で、低レップが良い高レップが良いとか、インターバルはこのくらいが良いという話を経験をもとにされても、一切耳を傾けられない。なぜならばそれは、ステロイドを使っていたから成り立つことかも知れないからだ。それを否定することが誰に出来るだろうか。例えば、ステロイドを使うと筋肉の回復力は高まるが、腱などが強烈に強くなるわけではないから、もし、常に限界を攻めた高重量トレーニングをしてしまうと速攻で怪我をするということが言われている。だから、彼らは比較的低重量で高レップスのトレーニングを行う。それでも筋肥大することには変わりないし、怪我のリスクを減らすことの方が優先されるからだ。こういう話が、一度ステロイドを使った人間に成り立たないとは限らない。
また、こういうサプリが良いという話も同様に、価値を感じない。理由は、筋力増強剤を一度使って、筋肉自体が付きやすいのであれば、それに伴って必要なサプリや効きやすいサプリも変わってくると思うからだ。
やっぱ北島先生でしょ。