「完全自殺マニュアル」の4章はみなさんお待ちかね 自傷による失血死である。
しかし今回は、うっほおおおおい自殺最高!!!とはならない。
なのでむしろ、「自傷で自殺はやめとけ」 という啓蒙チックになるだろうし、うざがられることは覚悟してる。 でも物事の良い面と悪い面を両方知っておくのは大切なことだ。 バカな人はどちらか一方にしか目を向けないものだ。
自傷で死ぬことは難しい
究極の結論。リストカットはまじで死ねない。
リストカットで本当に死ぬ割合はたった5%だ。 5%というと、競馬でいうと15倍くらいの単勝馬券が当たる確率だ。 これが恐ろしい低いことは、なんとなく想像つくと思う。 こんな馬が一着に来たら「荒れた」と表現される。 そんなものは自殺法とは呼べない。
では、なぜこの本でリストカットが紹介されているかというと、 その5%に入る方法を解説するためだ。
しかしね、おれにはどうしても真剣に読めなかった。
第一に、これは安楽死ではないから。
おれはリストカットなんかするつもりがない。 だって切ること自体、安楽死でも何でもないから。 リストカットの原因は精神病だ。 おれはこの世に絶望してるだけであって、血迷って夜な夜なリストカットを するほどイカれてはいない。 世界中で誰よりもクリアな頭で自殺について考えているのだ。
第二に、おれは人体を切って血が出ることを想像するのが怖いから。
高校生の時、たまたまT字カミソリで顔を軽く切ってしまったことがある。 ざくっと言う音がして、今でも忘れることが出来ない。 血はしばらくして止まったが、おれの震えは止まらなかった。 その日、おれは学校を休んだ。 それから床屋で顔を剃るのは断るようにしている。
映画のワンシーンで、髭を剃っていて誤って切ってしまうシーンが時々あるが、 そうなりそうだと思ったら、目を閉じて耳を塞ぐことにしてる。 嫌がらせでしかない。色相が濁ってしまう。
そもそも、注射も駄目で、頭のおかしいやつの多い麻布学園の歴史上でも、 入学時の予防接種が怖くて列から脱走して家に帰ったのはたぶんおれくらいだろう。 予防接種にすら適合出来ない人間が社会に適合出来るわけがないのだ。
静脈注射については呼吸を意識的にコントロールすることで なんとか耐えられるようにはなったが、やはり終わったあとは精神がまともではなく、 しばらく震えている。
こんな人間が自傷なんか出来るわけがないのだ。
岩崎隆一という人が大量の小学生を全力で殺傷したあと、 自身の首を突いて自殺したのだが、 その時に「そんな勇気があるなら生きたら良かったのに」 というコメントがネットにはあった。
おれもそう思った。 自分の首を一思いに刺すことがどれだけ難しいことかは、 死にたい死にたいと思ってる人がリストカットをしても5%しか 死ねないのを考えると、どれだけすごいことかわかる。
なぜリストカットで死ねないかというと、 その結論は、動脈を切ってないからである。 動脈を切れば、大量失血で死ぬこと自体は間違いない。
手首には静脈と動脈がある。静脈を切ったところで血がある程度でて満足してしまい、 それ以上切らないとか、神経を切った痛さで目が醒めてやめてしまうとか、 そういった原因がある。
興味があるなら、その具体的な方法については本を買って自分の目で確かめてほしい。 結論は知っているのだが、おれには書くことが出来ない。吐いてしまう。 それだけ詳細に書いてある。
岩崎隆一がとった方法は頸動脈を切る行為であったが、 これもそう簡単なことではない。 切り方にコツがあるからだ。 そうしないとうまく切れない。 難しさについては、首を切る時には力が入りにくいとか、 鏡でもないと見れないというのはわかるから、 それだけでも伝わると思う。
たぶん岩崎隆一は頸動脈を切って自殺する計画を立てて、 「学んだ」上で犯行に臨んだのではないだろうか。 対象を殺害する上でもどうやったら確実に殺せるかを 考えていただろうし、その延長でどうやったら死ねるのかわかったのかも知れない。
おれならそうする。
リストカットで未遂に終わった場合の代償
リストカットの痕がある人というのはあんまり珍しくない。 おれは人間観察が得意だからかも知れないが、 リストカットの痕がある人をよく見かける。
wikiには、
全国高等学校PTA連合会が、(独)福祉医療機構(子育て支援基金)の助成で、2003年度から3か年計画で実施している「高校生の心身の健康を育む家庭教育の充実事業」の第3年次の調査によると、高校2年生5755人からの回答を、木原雅子京都大学大学院助教授が集計・分析を担当した結果、自傷行為の経験があるのは男子5.3%、女子10%だった。また、同調査では「出会い系サイト」は男子3.9%、女子5.8%、「援助交際」は男子1.1%、女子1.5%が経験していると回答している
という記述もあるから、 100人いれば1人くらい自傷してるくらいの高確率だ。 だから、あなたが「自傷なんか絶対にしない」と思っていても、実際にはそうでもない。
リストカットはふつう、手首に対して横向きにやるようだが、 この痕は明らかにリストカットをしたとわかってしまうため、 目が醒めたあとにその痕を消したいと思うことがあるようだ。
もはやなんでも相談窓口と化した高須幹弥先生がその方法について専門家として紹介している。
方法は色々あるようだが、
- 横に切った傷をうまく縫い合わせて、縦に切ったような傷に変形する。こうすれば、明らかにリストカットの傷とは見えなくなる。(骨折の手術痕に見えるかも知れない)
- レーザーを当てて、やけどの痕のように変形する。
というのがメジャーなやり方のようだ。
一方で、入れ墨を入れてリストカットの傷を隠すというやり方は 結局後悔するとして反対している。 消すことが難しくなるらしい。
いずれにしろ、 不自然な痕として残ることは間違いないから、 リストカットはあまり良い方法ではない。
やっても大抵の場合は死ねないし、 未遂に終わったあとは傷跡が残ってしまうからだ。