完全自殺マニュアルは聖書より尊い

いかにして自殺するか。これがおれが自分の中で解くべき最後の問題だ。

おれは人よりも身体が強いし、 麻酔が効きづらいこともある。 アルコールにも強いので、もしかしたら自殺は簡単ではないかもしれない。

例えば、ふつうなら死ぬような高さから飛び降りても 結構生き残ってしまう気がする。 ただ結果として、寝たきりとか脳障害とか、そういう後遺症は避けられないだろうと思う。

薬で死ぬにしても、 実際に死ぬかどうかはわからない。 中途半端に脳を壊された上で蘇生してしまう可能性がある。

こういった事態は絶対に避けなければならない。

では、理想の自殺とは何か?

おれは理想の自殺は以下の3点を満たすべきだと考えている。

  1. [Must] 苦しまないこと。毒を飲んだあと苦しくて胸や喉をかきむしるなどは嫌だ。ふわぁっと意識がなくなっていき、夢心地の中で脳や心臓の機能が停止すれば良いと思う。
  2. [Must] 確実であること。薬の中では、致死量の幅が大きいものがある。例えば、人によっては100で死ぬが他の人にとっては1000でないと死なないとかだ。市販薬を大量摂取するパターンはこれに該当しやすい。 自殺は一回切りなのだから、100飲めば確実に死ぬものでないと実行出来ない。全身麻酔などは理想に近い。薬が投入されたら一瞬で寝てしまう。途中覚醒したとか、一生覚醒しなかったという事故はあるだろうが、寝なかったことはなかったのではないだろうか。
  3. 死ぬ前に幸せな気分を味わえる。薬を飲んだあとに、過去の楽しかった思い出を夢の中で辿りたい。吉永あかねのおっぱいを揉みながら死にたいと前に言ったが、そういう妄想の中に死ぬのでも良い。とにかく幸せの中で死にたい。「うわぁ、自殺って最高。自殺しないやつは馬鹿だわ」って思いながら死にたい。例えば、何日間も溜めたあとに射精すると最高に気持ちいいわけであるが、そういう感じで、30年以上生きてきた人生を自ら一瞬で崩壊させる行為は、気持ちよくあって然るべきだ。

おれは理想の自殺を探している。 そして一冊の本に、当然のごとくたどり着くわけである。 まーたオカルト本かと思うかもしれないが、 実は、鶴見済(つるみわたる)という東大文学部社会学科卒の人が書いたまじめな本である。 実に出版年は1993年で、ほぼ30年前に出版された本が今でも広く読まれているという事実は、 いかに自殺が、人間にとって、というか日本人にとって重要なテーマであるかを示している。

この本を今読み進めているわけであるが、 本に書いてある自殺に関する細かい知識については 今後個別に紹介していくこととして、 一体全体この本がどういう意図の下に書かれたかをまず、 おれの考えも込みで紹介する。

一番大きいのは、 著者も述べていることであるが、 死にたいと思っている人が 死ぬ方法を実際に学ぶことによって、逆に生と向き合うようになることである。 これは他の例でいうと、実際に殺し殺されの世界では現代よりも生というものがリアルに 感じられただろうし、保健体育の授業で子供の作り方について教えることによって 避妊への意識が高まることにも似てる。囲碁で石の殺し方を勉強することは生き方 を勉強することと同じであるのとも似てる。

多くのことがらは、表裏一体なのである。

次に大事なのは、 これはおれの考えだが、 自殺の正しいやり方を知り、 確実な死を目指してほしいということだと思う。 つまり、自殺は未遂がめちゃくちゃ多いのだ。 本当に死ぬつもりでやったのに、結果が伴わなくて障害者になったり、 それこそ死んだ方がマシという状態になってしまう。 場合によっては二度と自分で自殺を結構出来なくなってしまい、 地獄の中を生きるハメになるかもしれない。 だから、自殺はやるんだったら確実にやった方がいいのだ。 自殺するまで精神的に追い込まれていて実行に移したにも関わらず、 結果として未遂で終わってラッキーなどとなることは絶対にあり得ない。 自身も周りも、不幸になるだけである。 実際に、この本の中には、自殺の実例に関する紹介が時々挟まれているが、 その中には、見事に遂げたものもあれば、未遂に終わったものもある。

こちらの方がおれにとってはより重要だ。 なぜかというと、未遂だけは絶対に避けなければならないからだ。 もっとも確実でもっとも楽な死を選択しなければいけない。 そこに間違いは許されない。

安楽死が何らかの手段によって認められたとしても、 この本は読む価値があると思う。 なぜかというと、ほぼ確実に死ねる手段は存在するからである。 そして、自分の自殺を他人と違ったものにするという観点では、 いつまでも価値のある本であり続けるのではないかと思った。

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