この記事の主題
そろそろ中学受験の時期ですね。この時期になるとあの頃のことを思い出します。今でも麻布中学がどういう試験問題を出したかはちらっと見ますし、気にはなるものです。中学受験をするためには大抵、中学受験専門の塾に行きます。私の代であれば、サピックス、四谷大塚、日能研などが大手でした。他にもタップ、桐杏学園などがトップ校には実績がありました。1997年のことです。
この時期になるともう、志望校に特化した受験対策を続ける毎日だと思います。その志望校は大抵は偏差値に妥当なところか、その子の得意不得意を考慮したものですが、残念ながら通学時間というものをファクターに入れて話をしてくれる塾の先生というのは少ないかと思います。塾の実績を出来るだけ作りたいからです。この記事では、自身が6年の通学から感じた通勤時間の重要性について話そうと思います。
なぜ麻布中学にいったか
私の実家は横浜市の端の方にあります。地元で有名な塾に通い、1日目麻布学園・2日目栄光学園・3日目浅野学園と受け、全部合格しました。おそらく一番通学の負担が低いのが浅野中学で、学力的なレベルを考えると栄光だったと思います。しかし栄光は制服が格好悪いということもありますし、部活の制限があったりと厳しい印象がありましたから、校風で麻布学園に進学することにしました。文化祭の自由な雰囲気が気に入ったからです。
通学の実態
記憶がおぼろげなのですが、1限目に間に合うには最悪ケースで6時50分くらいの電車に乗らなければなりませんでした。最悪ケースというのは、当時の麻布中学は15分だから30分くらいの遅刻であれば遅刻とみなされないという謎のルールがあったため、それを考慮に入れると6時50分だったということです。ちゃんと通学するには6時30分くらいの電車に乗る必要があったと思います。
それから満員の京急線に揺られて品川まで行き、これまた満員の山の手線にすし詰めになって恵比寿へ。最後は日比谷線で広尾という経路でした。家から学校まででいうと1時間40分くらいだったと思います。
通学は本当に辛かった
通勤ラッシュの中、当時音楽プレイヤーというとカセットでしたが、それにビーイングの音楽を入れて聴いていました。通勤ラッシュ時の電車は遅く、品川まで1時間近くかかることもありました。その間何も出来ずにただじっとしているのです。通学中に貧血で倒れたこともありました。
特に中学の頃は辛かったです。入学時の身長は158cmで、中2のときでも164cmしかなかったと思います。これは女性の体格です。成人男性の平均身長が170cmと考えると、今で相対的に考えると187cmの大男に押しつぶされたながら1時間耐えていたということになります。周りは全員NFLの選手です。尋常じゃないですね。よくくじけなかったと思います。同じ地域から一緒に通学していた子の中には半分登校拒否みたいになってしまった子もいましたが、それがふつうなのだと思います。
白点の危機
高校にもなると生活態度もだれてきたというのもありますし、陸上部の部活で夕方遅くまで練習してから帰るという日々の繰り返しでしたから身体は常に疲労困憊で、陸上自体も疲労骨折をして記録は残せませんでしたし、なにより通学が難しくなりました。特に、1限目に出席するということが難しくなり、「白点」による留年の危機に晒されました。赤点というのは誰もがご存知かと思いますが、白点というのは聞いたことがないと思います。白点というのは、出席日数が2/3に達していない場合に単位を上げられないというものです。つまり留年します。3年の時期に、「あと1日でも遅刻してしまうと白点で留年」という危機に追い込まれて、しにものぐるいで朝起きしたことを覚えています。
このような生活は当然、睡眠を犠牲にしますし、脳や身体の成長に影響があったのではないかと思います。
ただし後悔はない
では、やはり麻布に進学したことは間違いだったのかというと、そうでもなく、私の場合は校風が非常に合っていましたし、楽しかったという印象が強いため後悔はありません。ただし、より通学時間が短ければ良かったなとは思います。麻布中学の平均的な通学時間は50分か1時間くらいだったと思います。お金持ちの子も多く、広尾に住んでる子もいて通学10分という子もいましたし、東横線沿いの高級住宅街や世田谷などに住んでる子も多く、正直にいうと羨ましいなと思うことはありました。千葉や埼玉から通ってる子もいましたが、それでも私ほどは通学時間は長くなかったです。もしせめてあと30分通学時間が短ければ、1日1時間、トータルで1000時間以上の時間を有意義に使えたのにと思います。
まとめと提案
通学時間を中学受験の進学先(あるいは出願先)を選ぶ際に考慮した方が良いということを、自身の体験談を交えてお話させていただきました。
提案としては、本当にその通学が妥当なものなのか、お母さんがまず実際に体験するということをオススメしたいです。(通学時と同様にリュックを背負ってみることをオススメします) 私の場合は、麻布が合ってたと思いますから、決して後悔はありませんが、ただ進学実績だけを理由にして遠くの進学校に通わせることは虐待に近いと思いますし、その子供にとっても決して良い6年にはならないと思います。まずはその通学が健全であってはじめて、有意義な学校生活が送れるのだと思いから、想像ではなく実際に検証してみるというのは、6年という長い期間の通学を考えると、安いものだと思いませんか。