スプリンターのノア・ライルズがゴリゴリの遊戯王ファンらしく、 衣装の下にブルーアイズホワイトドラゴンやエクゾディアのカードを隠し持って、 走る前にカメラの前で披露するという謎のパフォーマンスをやって話題になっている。 彼はドラゴンボールなんかも好きで、日本の文化がこういうトップオブトップ人間に愛されるのは 本当にありがたいことだ。
Noah Lyles really pulled out a Yu-Gi-Oh! card for his 100m intro. 😂
— NBC Sports (@NBCSports) June 23, 2024
(Blue-Eyes White Dragon, for those wondering.) #TrackFieldTrials24 pic.twitter.com/GaBqKzH2xF
しかし何を隠そう、遊戯王を海外に広めた初の日本人はおれだ。
話は25年前に遡るが、おれの親戚にはカナダのカルガリーに住む富豪がいて、 おれが中3の時に2週間ほど遊びにいったことがある。
バンクーバーだかトロントに旅行に行った帰りの飛行機の中で、 おれは当時嵌っていたゲームボーイの遊戯王ゲームをやっていたのだが、 するとカナディアンキッズが突然話しかけてきて、これは何だとうるさいので、 当時完全に拙かった英語で必死になって説明したものだ。 たぶん伝わってなかったが、1999年の段階で日本から海外に向けて 遊戯王の説明をしたのはおそらくおれが初めてだっただろうと思われる。
つまり、おれが遊戯王をカナディアンキッズに説明したから、 今、ノア・ライルズがブルーアイズホワイトドラゴンのカードを持って 走っているのだ。
カナダ旅行についてはもう1つ、カナディアンキッズとの絡みがある。
カルガリーのダウンタウンには大きなゲームセンターがあり、 そこに連れていってもらうことになった。 そこで、スターウォーズの謎の迫力ゲーをやったり、弟と一緒にわいわい楽しんだが、 おれはそこに、とある格ゲーがあるのを見つけてしまった。
「X-MEM VS ストリートファイター」である。 おれは当時このゲームにかなり嵌っており、ウルヴァリンとサイクロプスの無限コンボもマスターしていた。
ちょうど対面にカナディアンキッズがいたので、 日本人の強さを見せつけてやろうと、トークンを入れ、対戦を申し込んだ。
結果は無限コンボを使ってワンサイドでボコしたのだが、すると対面にいるカナディアンキッズが 大声で「ファックユー」と叫んで去っていった。 おれはファックユーという言葉の意味は知っていたが、本場のファックユーをいただけたことが相当 嬉しかったのを覚えている。 ウメハラがジャスティンと死闘を繰り広げた5年も前に、 おれはすでに海外で戦って、相手からファックユーと言われていたのだ。 おれがあの時、無限コンボでカナディアンキッズをボコしていなかったら、 ウメハラが神業でジャスティンをボコすこともなかっただろう。
このファックユーだがさらに後日談がある。 あれは確か麻布の陸上部のみんなで広尾駅に向かって歩いていた時のことだったと思うが、 日式的感覚でファックユーという言葉を気軽に使っていたら、 すれ違ったお広尾に住むお外国人の方が、オーマイガーという目でこっちを見てきた。 あの時、ファックユーという言葉がどれほどの意味を持つことなのかようやく理解した。 もしかしたら、上品におファックユーとでも言っていれば問題なかったのかもしれないが、 ファックユーという言葉を使う時には相当な覚悟が必要だということを忘れてはいけない。