突然だけど、井上尚弥で沸き立つボクシング業界を見ていて思うことがあるので書く。 いっとくけどおれはボクシングは素人なので、素人の戯言として冷静に読んでもらえればと思う。
最近、ボクシング選手のユーチューブチャンネルがいっぱいあって楽しんでいる。 例えば、「渡嘉敷勝男&竹原慎二&畑山隆則 公式チャンネル」とか、あとは「A-SIGN.BOXING.COM」なんかも見てる。
おれはボクシングはやったことがないけど、ベンチプレスは130KGまで挙げたことがあるし、 ベンチプレスもボクシングも手を前に出すことは共通しているので、ボクシングも見るのは楽しめる。
何が好きかというと、筋骨隆々の男たちが至近距離でパンチを出し合って半ば殺し合うという点が最高にスリリングだと思う。 その他すべてのスポーツは安全だ。 どのスポーツも、命が脅かされることはないが、ボクシングだけは違う。 実際に、死者が出ることもある。 そうでなくとも、競技者は脳をはじめとする身体に深刻なダメージが残る可能性を常に負っている。 見るだけならば、こんなに熱い競技はない。
殺傷能力についていうと、 自分と同じくらいの骨格がある人間が、ボクシングをするのに必要最低限の筋肉を残してあとは削ぎ落として、 相手を殴ったらどれだけの衝撃があるかというのは、なんとなく肌感覚でわかる。 ミドル級とかになると、ブロックの上からでも効くというが、そりゃそうだろう。 そんな強者同士がよく殴り合う気になるな、と感心すらする。世界で人気が出るのもわかる。
一方で、軽量級の試合は見ていて全く面白くない。 井上尚弥の身長は165センチ。中2のときの自分だ。母親がだいたいこのくらいの身長だ。 こんな小さいやつが必死にボクシングをやって、何の意味があるのかがわからない。 ボクシングは強者を決める競技であるのに、もともと弱者のやつがそれに参加して、何の意味があるんだろうか。 例えば、身長160センチ級の高跳び大会があったところで、何の意味もないだろ。
参加する人種が狭いことも問題で、フライやバンタムなんか、 大体がアジア人か東南アジア人かメキシコ人しかいない。 まともな骨格をした欧米人はいない。このことも意味のないことに拍車をかける。 だから少なくとも、世界チャンピオンと呼ぶのはおかしいだろ。
もちろん軽量級には軽量級の技術があるだろうし、 ボクシング業界の人はそれを楽しんでるだろうけど、 一般から見ると、栄養失調の人がデコピンをしあってるようにしか見えない。 パンチ一発でKOされるリスクが低いから、これに頼ったディフェンスもしてるように見える。 明らかに、中量級と軽量級ではディフェンスの質が違う。
なので、おれは軽量級のボクシングは「小人デコピン大会」と呼ぶことにしている。 フライ級はそのまま蠅、バンタム級もチャボだ。明らかに小さい動物という呼び名で馬鹿にされている。 何も思わないんだろうか。おれだったらこんな階級でやるのは絶対に嫌だけど。
スポーツ自体は成長や健康のために素晴らしいことで、階級制の競技はその間口を広げることになるから 当然、意味のあることなんだけど、ボクシングだけは違うだろという感じがする。
では、どのくらいの階級ならば意味があると思ってるかというと、 最低でフェザー級(57キロ)だと思う。 出来れば、ライト級(61キロ)くらいあると熱い。 このくらいあると、まともな男がド突き合ってる感じが出てくるからだ。
「はじめの一歩」を読んでいておかしいと思ったことはないだろうか。 なぜ一歩の階級がフェザーなのか。日本人でチャンピオンが多いのはフライ級じゃないのか。 同じくいじめられっ子出身の内藤大助はフライ級だ。 理由は簡単で、最低でもフェザーにしないと迫力が出ないからだ。 あの筋肉があったらフェザーのわけがないだろというのは描写の問題だとして、 フェザーとしないと一撃必殺のパンチ力という設定に真実味がなくなってしまう。 原作者の人もフェザー未満を馬鹿にしてるのか、漫画には超軽量級の選手が出てこない。 最低でフェザーだ。木村がスーパーフェザー、青木はライト級だ。
さて、日本人の世界チャンピオンはどの階級が多いかというと、 多くはスーパーフライ級までで、それからはバンタム、フェザーと上がるに従って減っていき、 スーパーフェザーではちょこちょこ。そこから上はほぼ皆無という状況だ。 ミドル級世界王者を2人も出したのがむしろ奇跡的といえるような軽量級指向である。
なぜだろうか。 おれは、そもそもまともな体格をしている人間が ボクシングをやらず、他のスポーツをしてしまうからだと思う。 畑山くらいが日本人の平均的な体格だとすると、やはりスーパーフェザーかライトくらいが平均的な 日本人にとってのベストな階級なのだと思う。
逆にいうと、他のスポーツをしても体格的に不利を受けてしまう人が 階級制のボクシングをやりだすのがほとんどなのだろう。 多くはボクシングを身に付けて喧嘩で絡まれないようにするとかいう不純な動機もありそうだ。 しかし、シャンプーハットをかぶってライオンのマネをしても猫は所詮猫だ。
こういう背景が透けて見えてしまうから、 なおのこと軽量級は面白くなくなる。 そういう階級ばかりが目立てば必然、なおのこと本当の強者はボクシングをやらなくなる という悪循環に陥ってるのではないかと思う。
最後にこの記事が井上尚弥に届けば良いと思って書くけど、 井上尚弥は今バンタム級までは制したけど、 これ以上上げていくのは、そろそろ階級の壁が厳しくなってくると言われている。 具体的にはスーパーバンタムは行けるかも知れないけど、 フェザーあたりで厳しくなってくるのではないかと言われている。 ここらへんになると、身長が10センチ高い選手もいるし、フレームで負けてしまうからだ。 でもフェザーなら、4団体もあることだから、敵を選べば勝ってしまうかも知れない。 だから、もし井上尚弥がその一つ上のスーパーフェザーで世界をとったらこれはすごいと思うし、 おれは本当に井上尚弥を本当の男だと認めることにしている。 スーパーフェザーにはふつうの体格の男がたくさんいることだし、 そこで勝てば、間違いなく男と呼べる。
(追記) この記事を書いている途中、 寺地拳四朗とかいう軽量級のチャンピオンが、 豊洲のマンションに駐車してある車を破壊したというニュースが飛び込んできて笑ってしまった。 ニュースでは泥酔状態であることが強調されていて、さも酔っていたから仕方がないという論調だが、 酔っていたことは関係ない。もともとそういう人間なのだ。 もともとチビガリの弱者がボクシングという暴力を身につけ、 「その階級の中」ではアジアのチャンピオンになった。それで膨れ上がったエゴが 車を破壊したのだ。 軽量級のチャンピオンなんかこんなもんだ。