この糞溜めみたいなブログを中学受験をする子やその親が見ているかは知らないけど、今日は昔話をする。
おれは1997年に中学受験をした。1日目は麻布、2日目は栄光学園、3日目は浅野を受けた。本当はその先も聖光の二次などを願書だけは出していたが、3日目で麻布の合格が決まったのでそこでおれの中学受験は終わった。4日目は栄光学園と浅野の合格発表があったが、これらも両方とも受かった。塾からするとその先も受け続けて実績を作ってくれた方がいいのだろうが、とにかく一刻も早く中学受験から解放されたかった。
実家はお金持ちではないので、麻布か栄光に受からなかったら私立の中学には行けない約束だった。栄光の入試問題は相性が良く、塾でも一番になったことがあるのでアクシデントがない限り落ちないとは思ってたが、第一志望の麻布は相性があまり良くなく、落ちる可能性はふつうにあった。麻布の国語は物語文が難しく、独自診断によるとアスペの疑いがあるおれには理解不能で、塾で過去問をやると60点中10点ということもあったので、これで得意の算数までこけると不合格は厳しいという形勢だった。しかしその年は題材がトットちゃんだったと思うが、おれは読んだことがある文章だったということもあり、設問も簡単なため40点くらいはとれた感じだった。だから合格はしたと思っていたし、合格発表の当日は同じく麻布中学を受けた友達とシャイニングスコーピオンという当時流行っていたゲームをして遊んでいた。
遡ること3年、おれは中学受験の塾に入った。Google検索に引っかかると迷惑かも知れないので名を伏せてK塾と呼ぼう。中学受験の塾には選抜試験がある。だから本気の子はそのために準備をして受けてくる。おれは日能研とK塾を受けた。おれは3年生になった時から突然計算能力が異常に高くなり、どういう経緯だったかは忘れたが突然受験をすることになった。
日能研は受かったのだがどうしようもないクラスだった。E組だか5組だったか忘れたが、最下位レベルだった。当然、日能研にはいかなかった。小学校の他のクラスメイトが一番トップのクラスに合格して自慢したのが悔しかったのは覚えている。
K塾は、おれの住んでいた地区でトップの塾で、日能研のように大量には生徒をとらず、少数精鋭でトップ校に合格することを目的とする塾だった。ここに合格するのは日能研のトップクラスに合格するよりも難しいと言われていたのでおれはどうせ落ちると思っていたが、なぜか受かった。詳しくは覚えていないが、図形の問題など、仮に勉強をしなくても地頭が良ければ解ける問題だったからかも知れない。
合格したと言っても、クラスの中で下から8番だったことを覚えている。一緒に麻布中学を受けた友達は、詳しくは覚えていないが上から10番以内だったと思う。当時は1クラス何十人かしかいなかったが塾は次第に大きくなり3クラスとなった。おれの周辺にいたやつは大体2組か3組に落ちていったが、おれは1組に上がっていった。
4年生の頃は死ぬほど勉強したのを覚えている。中学受験は覚えることが死ぬほどがあるがおれはまっさらだったので、まじで死ぬほど勉強した。4年生から5年生の身体測定は、体重が変わらなかった。死ぬほど勉強したから生育に問題が出たのだと思う。そのくらい勉強した。救いは、算数が出来ることだった。算数が優秀な生徒だけが参加出来る特別算数クラスがあって、これは難しい問題を解いたら帰れるというものだった。おれは算数だけは出来るので、小学校でサッカーをした後遅れていって、他のやつより早く終わらせて帰るのが快感だった。夏休みは夏期講習、冬休みは冬期講習、勉強を休む日なんかない生活は3年続いた。
入試の前日おれはシムシティ2000をしていた。どうせ受かるからという余裕もあったが、入試が近くなって慌てて勉強するようなやつは小者だという考えがあったからかも知れない。結果合格したのだから、何も問題ない。
あれから20年。おれは32歳になった。そろそろ33になる。結婚はしてないし子供はいないが、実際に社会に出て働いてみると、子供に中学受験をさせるということがどれほど重いことなのかは実感出来る。もし落ちていたらと思うとぞっとする。
勝者の裏には敗者がいる。麻布中学で倍率3倍くらいだから、3人に2人は第一志望に落ちる。第二志望に受かればまだよい。それ以降の学校にしか受からず、結果として負けを感じる子供なり家庭なりは少なくない。「まぁ落ちちゃったのはしょうがないし高校から開成にいけばいいよ」と立ち直れればまだいい。しかしそうでない場合、これは中学受験の闇なのだが、家庭崩壊、自殺などがふつうにある。
子供の勉強は通常母親が見る。だから不合格を知った父親は「お前がちゃんと勉強をみないから落ちたんだ!おれの会社でのメンツはどうしてくれる!」と怒鳴る。母親は泣き崩れるか「あなたの遺伝子が悪いからじゃないの!」と口論になる。子供は自分が中学受験に落ちたことで大好きなお父さんとお母さんが喧嘩するのを見て、トラウマになる。当然家庭は崩壊する。子供のために離婚はしないかも知れないが、別居するケースなどは良くある。中には、責任を感じて自殺する子供もいる。
だから、中学受験はやるからには敗北はない。敗北したら死ぬしかないと思った方がいい。命を賭けてがんばれ受験生!!!