CFOPの問題点
ルービックキューブの解法にはいくつかのメソッドがある。
スピードキュービング競技の文脈でもっとも使われているのは CFOPというメソッドで、これはまず、クロスを作り、F2Lをし、 最終的にラストレイヤー(LL)を解くという順序でソルブする。 そのため、初学者用の解法としてはこの簡略版である、 LBL法や、そこから少し進んだ簡易CFOP法などが用いられることが多い。
CFOPが競技で用いられる理由としては、 それが簡明であり、各ステップを独立して伸ばしやすいからだと思われる。 トレーニング論がある程度確立されており、 地道に訓練すれば、それなりのタイムは出るようになる。
CFOPにおけるボトルネックはF2Lであるが、 これは、
- 手数が多いこと
- 左手が使われること
- リグリップが必要になること
が原因である。
さらに、CFOPではその後のOLLにおいても簡単なパターンが出ることが保証されておらず、 タイムにばらつきが出る。 OLLでエッジOLLを強制的に出すためにVHLSという手法もがあるが、 そのためにF2Lの手数を増やすという本末転倒さから、本格的には使われてはいない。
ABPメソッド
そこで、CFOPの問題点を解決したメソッドは存在するのか?という問いが生まれるわけであるが、 ABPメソッドというものが存在するようだ。
これは、
- 手数は少なく
- 左手をほぼ使わず
- リグリップは一切必要ない
という特徴を持つ。
以下の動画で説明されているが、英語かつ動画でわかりづらいので、 日本語の文章で整理しておく。
1. L2層を作る
ABPではまずクロスを作るのではなく、LMの2層を作る。
まずはLの2層を作るわけだが、これは、
- クロスエッジを入れる:これは秒
- FBをスロットインする:クロスがないのでスロットインは簡略化出来る(F面やB面を使ってスロットイン出来る)
クロスがないため、 FBのペアリングでは、M面を使ったペアリングも可能。
ここまでの段階ではMR層についてはどういう形であっても構わず、 D面が白がある必要もない。
2. M2層を作る
次にMの2層だが、 ここではじめて、D面に白を持ってくる必要がある。
要領としては、クロスエッジを側面パーツにくっつけた状態で、 U面に出し、U面を向き調整し、M面を使ってスロットインする。
この時、側面中央へのくっつき方には2️通りある。 側面パーツの上にくっつく場合と、横にくっつく場合である。 いずれの場合も、今R面がフリーであることを考えると、 Rwを使ってU面に持ってくることが出来る。 だから例えば、RwU2Rw’や、RwURw’といった手順になる。 M列を中指で操作する必要はない。
ここまででLMの2層が完成する。
3. RBスロット
F2Lの要領でペアリングして入れる。
ふつうに裏スロット出来ない場合でも、FwR’Fw’という手順で リグリップを拒否することが出来る。
4. EO調整
残りの全エッジのEOを調整する。
Badエッジを灰色のエッジとして、以下の手順を実行することで全エッジのEOがGoodになる。
5. LXS
R2層の残りはまず、クロスエッジを揃える。 これは、エッジの位置関係に応じて以下のどちらかの手順を実行すればよい。
最後はF2Lの要領で手前にスロットインすれば終わり。 全EOが揃っているため、リグリップは必要ない。
6. LL
あとはLLだが、ふつうに解いてもいいし、 エッジが揃ってることを利用してCOLLを使ってもいい。
ABPは速いのか?
今回紹介したABPは、LBLのような初心者用メソッドだが、 ABPの魅力を理解する上では十分だと思う。
ABPは速いのか?だが、 「慣れれば」速くならないこともないのでは?と思った。
というのも、手数が少ないというのは事実だし、 リグリップによって視点が変わることがないので、 パーツの位置を追いやすいからだ。 パーツを追う範囲が狭まっていくので、これも追いやすさを有利にする。
ただ、EO調整は難しい。 ここでは全エッジパーツのEOを判定する必要があるのだが、 この認識がかなり手間というのはABP経験者の共通認識としてあるようだ。 でも逆に、この部分が本当に速く出来るなら、ABPには可能性があることになる。