ファイナルファンタジーというゲームがある。いや、知っとるがなという人がほとんどだろうが一応説明すると、ドラゴンクエストと並び称されるRPGシリーズであり、ファイナルファンタジーを作っているスクウェアとドラクエを作っているエニックスが合併するという話が出た時は、これからどうなるんだ?いよいよ日本のゲーム業界も厳しいかと囁かれたものである。その合併は2003年の話、私は高校を卒業したばかりの頃だった。今の子供はスクエニがもともと2つの会社だったなんて知らないだろうけど、今でいうとグーグルとマイクロソフトが合併するようなものだ。
今でも、「ドラクエ派?FF派?」という問いは存在するかも知れない(ついでにいうと「ファイファン派?エフエフ派?」という問いも存在する)が、当時はまるで踏み絵のように使われていた。ちなみに私は、ドラクエはロトシリーズ(1-3)とせいぜい5までは良かったが、そこからはあんまり面白いとは思わなかった。一方でFFは、10あたりで完全に終わったと思ったが、それまではずっと面白かった。ドラクエ芸人なんていう番組があったが、だいたい好まれるキャラクターはドラクエ5までのキャラクターで、アリーナとかトルネコとか、もっぱら盛り上がるのはビアンカかフローラかの議論だ。どちらかと言われたらロトシリーズを擁するドラクエの方が好きだ。
いかん、中学受験の話に戻ろう。興味ないねじゃないんだよ。中学受験に興味を持って。
ファイナルファンタジーの7作目、つまりFF7の発売日は1997年1月31日であった。そして、私が麻布中学を受験したのは1997年の2月1日であった。あれは、スクウェアによる中学受験業界へのテロ攻撃だったと今でも思っている。
そのハードであるプレステ自体はだいぶ前から出ていたが、私はこれは持っていなかった。単に、買ってしまうとさすがに中学受験どころではなくなってしまうから買ってもらえなかったという理由もあるが、基本的には「あまり流行っていなかったから」である。プレステは現在では家庭用ゲーム機の代名詞ともいえるものになったが、当時はそうでもなく、発売当初は4万円だったが、それではあまり売れず、海外進出をプッシュするためにアメリカでは3万円、2万円とたたき売りをし、日本でも3万円まで下げていた。思ったほど売れなかったから、どんどん値段を下げて売らざるを得なかったという状況だったのだ。むしろ友達の中では、NINTENDO64やドリームキャスト、セガサターンを持っている子の方が多かった。今では3Dのゲームは当たり前だが、当時はちょうど2Dから3Dに変わろうとしている最中であり、マリオ64というゲームを見せてもらった時には激しく酔ったものである。
こうして、ハード戦争で形勢不利の中、プレステは、ファイナルファンタジーという最高のタイトルを発表したのである。当然、我が家でも、買うしかないという決断をしたが、条件がついた。
麻布中学に合格したら
である。麻布中学に合格したらプレステとFF7をセットで買うというのである。落ちてもきっと買ってもらえていただろうけど、麻布中学に落ちたら死ぬつもりだったので、どのみちプレイは出来なかっただろう。
しかし実際はめでたく麻布中学に合格し、プレステとFF7を買ってもらったわけである。
FF7をはじめてプレイした時のことは明確に覚えているが、3Dのムービーが流れると大興奮したものである。今見るとしょぼしょぼのしょぼなのであるが、当時では今までのゲームにはない圧倒的なグラフィックだった。初体験の3Dゲームは難しかった。今までのゲームは全部上からの俯瞰視点だったが、いざ3Dのキャラクターを操作してみると、ここは登れるとか登れないとかが全く区別つかず、苦戦したものである。
ソニーは2020年の年末商戦期に新機種のプレステ5を発売すると発表した。おそらく前持ってビッグタイトルの同時発売が発表され、また「受験に合格したらプレステ5を買ってあげる」が繰り返されるのだろう。